顎が鳴る、顎が痛い、肩がこる、首が痛い、手足がしびれる、めまい、腰痛
などで悩んでいませんか?
もしかしたら“かみ合わせ”や“食いしばり”、“顎関節”が関係しているかもしれません。
ここでは顎関節症の大きな原因となっている咬み合わせの不良(ずれ)について説明します。
怖いもので、咬み合わせに多少ずれ(歪み)があっても、それなりにバランスを取ってしまうのでなかなか気づきません。
しかし咬み合わせのずれの放置は危険です! ぜひ参考になさってください。
咬み合わせの不良、いわゆる咬み合せのずれは、下顎の位置にずれを起こします。
通常、顎の運動は顎関節を支点に下顎や顎の周囲の筋肉が共動することで、回転運動や滑走運動が組み合わさった複雑な動きを可能にしています。
しかし、咬み合わせがずれると下顎運動が正常にコントロールされなくなり、下顎骨や下顎頭もずれてしまうのです。
下顎頭は下顎窩(頭蓋骨:側頭骨のくぼみ)に関節円板(軟骨)をクッションに収まっていますが、関節円板にずれなどの異常が起こるとそれが障害となり顎の開閉時に痛みや異常音が出たり、口を開けなくなってしまいます(開口障害)。
つまり咬み合わせのずれの放置は顎関節症の起爆剤を抱えているようなものなのです。また顎関節症は一部で不定愁訴とも言われており、重症化すると人によってはかなり深刻な問題になります。
“咬み合わせのずれ”は顎関節症の大きな要因です。顎関節症の方も、そうでない方も健康のために咬み合わせを当院でチェックしてみましょう。
もし咬み合わせにずれがあったとしても早めの対処が可能です。
そして顎関節症の方にとっては“咬み合わせのずれ”を治すことが一番の解決法となるはずです。
噛み合わせは上顎に対する下顎の運動によって成り立っています。
当然ですが、上顎は頭骨と一体なので動きません。下顎の動作が会話や食事など様々なことを可能にしています。
そして、上下の歯は無意識のうちにいつも同じ場所で咬み合っています。
この咬み合わせを習慣性咬合位と言い、噛み合わせた時の下顎の位置は均衡した状態にあります。
しかし、この下顎の位置は永久歯が生え揃うことで決まります。この時に咬み合わせに不良があると下顎がずれた状態で習慣性咬合位は定まることになります。
歯の生え方は様々です。
悪癖や食生活などの生活習慣、遺伝や成長なども関係するので、下顎の位置が正しくなるように生えてくるとは限りません。そのため、咬み合せが元々ずれている方は多いです。
若いうちは下顎にずれがあっても体の柔軟性が吸収してくれることが多いので、顎関節症の発症はまずありません。しかし、ある日突然何かが引き金となって顎関節症を発症することになります。
咬み合わせのずれの原因は単純ではありません。
以下のような様々な要因が合わさって咬み合わせのずれは起こります。
■ 顎関節症の要因1 - 不揃いな歯並び
咬み合わせの形成でも述べましたが、永久歯が生え揃うことで歯並びが決まり、下顎の位置が決まります。
歯並びは上顎と下顎が噛み合う土台です。
その歯並びが最初から不揃いなのでは下顎の位置もずれてしまいます。
■ 顎関節症の要因2 - 態癖(たいへき)・悪癖(あくへき)
日常生活の中で歯並びや咬み合わせ、下顎の位置に悪影響を及ぼす好ましくない癖をあげてみます。
頬杖
一時の頬杖なら問題ありませんが、悪癖となった長時間の頬杖は危険です。
弱い力であっても、それが長時間続くと歯並びや咬み合わせに悪影響を及ぼし下顎の位置にずれが生じてしまいます。
片噛み癖(偏咀嚼癖)
誰でもそうですが食事の時の噛み方は左右どちらかに偏りがちになります。しかし、それが顕著だと片噛み癖となり噛んでばかりいる方に下顎の位置がずれてしまいます。
歯並びや咬み合わせがおかしくなり、顔のバランスにも悪影響を及ぼします。
舌癖
舌は上顎の前歯の裏側あたりにあるのが本来の位置です。
舌癖はおかしな方向へ舌を押し出したり、上下の歯で舌を噛んでしまう癖ですが、それが長時間続くと歯並びや咬み合わせに悪影響を及ぼし下顎の位置にずれが生じてしまいます。
寝相(寝ている時の癖)
うつ伏せや横向きでの就寝には歯並び・咬み合わせに大きな負担がかかります。
このような就寝が日常化していると下顎の位置にずれが生じてしまいます。
顔のバランスや背骨などの骨格にも悪影響を及ぼします。
■ 顎関節症の要因3 - 歯牙の消耗、歯の問題
うさぎの歯は伸び続け、サメの歯は数日ごとに新しい歯に交換されます。しかし人間の歯は自然には再生しません。消耗品と捉えることもできます。
そんな私たちの歯に問題が起こった時、治療をせずにそのままにしていると、歯並びや咬み合せに影響が生じて下顎の位置のずれに繋がってしまいます。
歯のすり減り(摩耗)
日々休むことなく機能している歯にはする減りという経年変化があります。
噛み合う面が徐々にすり減り少しづつ高さが失われていきますが、その程度が増すと咬み合わせに狂いが生じて下顎の位置がずれてしまいます。
また、日中の噛み締め癖や睡眠中に歯ぎしりのある方は歯のすり減りも大きいので、下顎の位置のずれを予防する意味でもマウスガードを検討するべきです。
歯の折れ・歯の欠け
これも歯のすり減りと同じく経年変化の影響が多大です。
しかし、そのまま放置することは危険です。
今まで良好だった歯並びや咬み合せを維持し、下顎の位置のずれを防ぐことが大切です。
歯の抜け・歯の喪失
虫歯や歯周病の治療を繰り返しは消耗品である歯の喪失を早めてしまいます。
また歯をどんなに大切にしていても体質や経年変化を要因に歯を失うことになるかもしれません。
問題は歯を失った痕をどう対処するかです。
歯を失った部分には大きなスペースができています。そのままにしていると両側の歯が倒れ込んでくるなど歯並びに大きな影響が出てきます。
歯並びの乱れや咬み合わせのずれ、下顎のずれを防ぐためには、ブリッジや義歯などによる適切な対処をできるだけ早くすることが大切です。
歯科治療
ブリッジや入れ歯の治療でも咬み合せがずれることがあります。
例えば、ブリッジの治療では必ず咬み合わせの調整をします。しかし、ほとんどの場合、咬合紙(赤い紙)を患者さんに咬んでもらい、その咬み跡を見て調整したり、患者さんに違和感を聞いて調整します。
しかし、これでは咬み合わせを適切に調整するというよりは、患者さんが不快感をおぼえないように調整しているだけ、といったことがあるかもしれません。
ちなみに、調整によって咬み合わせが深くなってもあまり違和感はありません。
反対に以前よりも咬み合わせが高くなると強い不快感をおぼえるのが一般的で、この傾向は歯科医なら誰もが知っていることです。
患者さんの満足を求めすぎて、治療のたび、調整するたびに咬み合せを深くしてしまうと、咬み合わせのずれはどんどん大きくなってしまいます。
これまで“咬み合わせのずれ”について述べてきましたが、顎関節症はこれらの要因が複雑にからみあって発症することがほとんどです。
このことから顎関節症を改善または予防するには“咬み合わせのずれ”を検査し、必要な場合は治療することをおすすめします。
当院では歯科の人間ドッグとしてCT口腔ドッグを行っております。
原因がよくわからない肩コリ、頭痛、腰痛などでお悩みの方はぜひご利用ください。