顎関節症の主な症状は次の3種類、
各症状が複合的に起こるのが厄介なところです。
開口障害 |
痛くて口を大きく開けられない。 一時的に口を閉じることができなくなる(ロッキング現象)。
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顎関節音 |
口の開閉時の異音。 顎を動かすと「カクカク」と音がする(クリック音)。
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顎関節痛 |
食事などで顎を動かした時に、 顎関節の痛み・頬の痛み・こめかみの痛みがある。 顎がすぐ疲れたり(食事の時など)、顎や頬などの筋肉痛など。
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顎関節症の3大症状を簡単にご解説します。
顎関節症は不定愁訴と考えられがちです。
しかし、原因を突き止めることができれば大幅な改善を期待できますので、
顎の痛み、顎関節症でお悩みの方はお気軽にお問い合わせください。
歯科用CTで顎関節の状態を詳細に把握してから最適な治療を施します。
■ 開口障害 - 痛くて口を開くことができない
顎関節症になると食事の時に思うように口を開けなくなってあれっ?と思う方が多いようです。
このような方は、口の中に指を縦に2本入れられないことが多く、また、痛みからさらに大きく口を開けないことが多いようです。
話すことはできても、食事の一口量を少なくしないと食べられないなど、生活に支障を感じている方もおられます。
なぜ? このような症状が起こるのでしょう?
口は下顎骨の下顎頭を軸に回転しながら前方に移動することで開きます。
しかし、咬み合せがずれると顎関節の動きをスムーズにする役割をもつ軟骨(関節円板)がずれたり損傷することがあります。
その結果、下顎骨の前方方向への動きに支障が出るようになり口を開けられなくなってしまいます。
【Clicking】下顎頭と関節円板の動きと顎関節音(クリック音)の関係(下図参照)
顎関節音(クリック音)も軟骨(関節円板)の位置がずれて起ります。
口を開ける時に音がして軟骨が正しい位置に戻り、口を閉じる時にまた音がして軟骨の位置がずれたりします。
【Locking】 下顎頭と関節円板の動きと開口障害の関係(下図参照)
開口障害では口を開けようとしても軟骨(関節円板)が正しく機能しません。
関節頭が軟骨に引っかかったままの状態になり、口を大きく開けなくなってしまいます。
原因としては咬み合せ不良による下顎の位置のずれであることが多いようです。
また若い女性に多いことも特徴で、始まりはクリック音のみ、ある日突然開口障害となってしまうことも多いようです。
開口障害の判断
お口は普通4横指と言いますが指4本縦向きの幅程度に開くことができます。これが1~2横指しか入らない時に顎関節症の開口障害と判断できます。
ご自身でできるので心当たりのある方はお試しください。
開口障害は早期治療が重要
開口障害は顎関節症の中で一番重い症状です。
1~2横指しか入らないような重度の開口障害を2~3ヵ月放置すると、軟骨(関節円板)の癒着など症状が進行してしまい治療が困難になってしまうので、できるだけ早めに診察を受けましょう。
■ 顎関節音 - 口の開閉時の異音(クリック音と捻髪音)
顎関節症による口の開閉時の異音にはタイプがあります。
この中で注意すべき異音について説明します。
クリック音(クリッキング)
口を開ける時、閉じる時にそれぞれ起こる
「コリッ」・「コクッ」というような音で通常痛みは感じません。
咬み合わせ不良によって下顎の位置が後方にずれていると、口を開閉した時に下顎骨がスムーズに動けません。
すると下顎頭とクッションの役割をする軟骨(関節円板)に引っ掛かりが生じるようになり異音が発生するようになります。
クリック音は痛みを感じないので気にされる方が少ないのですが、放置していると顎関節症が重症化して開口障害に至ることがあります。
捻髪音(ねんぱつおん)・クレピタス
捻髪音は髪の毛を指でつまんで擦り合わせた時の「ジャリジャリ」といった感じのような音です。顎関節の下顎頭が損傷したり、軟骨(関節円板)の変形や穿孔(穴が開く)によって生じる音で、顎関節症が進行している場合に多くなります。
クリック音や捻髪音は顎関節内の骨と軟骨(関節円板)の位置関係のずれから起こるものです。結局その多くは咬み合わせ不良が発端であることが多いです。
■ 顎関節痛 – 顎関節の痛み。顎や頬などの筋肉痛
顎関節症の顎の痛みの多くは顎を動かさない、または顎の動きが小さければほとんど感じません。しかし以下のような動作で痛みを感じることがあります。
★ 口を大きく開けた時(あくびや笑った時)
★ 食事の時(ほおばる・一口量が多い時)
★ 顎をさわった・押さえた時(違和感から)
中でも困るのは食事です。
“食”は人間の五欲(仏教用語)/3大欲求のひとつです。
食事のたびに顎関節の痛みが頭をよぎり、また痛みを気にしながら食べなければならず、食事そのものが憂鬱な行為になってしまいます。
顎関節そのものの痛み
顎関節そのものの痛みは多くの場合、静止状態で痛むようなことはまずありません。
あくびや食事など顎を動かした時に感じる痛みがほとんどです。
いわゆる運動痛に分類される症状が多いです。
耳の下あたりに出る痛み
顎関節の軟骨(関節円板)は部位としては耳の下あたりにあります。
多くの場合、耳の下あたりを押さえた時に痛みを感じる圧痛になりますが、下顎についている靭帯への負担から起こることもあるようです。
顎関節の安静を心掛け早めに受診するようにしましょう。